2018年7月15日日曜日

コーキングの重要性について

今回は外壁コーキングの劣化が引き起こす漏水について、書いてみたいと思います。
2階洋間漏水状況
あるお客様から雨漏りについてご相談を受けました。
丁度梅雨時期に入るころです。
他のお客様には、状況をご説明して少し待っていただき、急いで駆けつけるとお部屋の中はこの状態です。

1階リビング漏水状況
 2階だけではなく1階リビングまで大きな雨染みが出来、大雨の際には
水がぼたぼたと落ちてくる状態とのこと。
ご依頼者様は息子さんでしたが、お仕事が忙しく日中は年配のお母様が
一人でいる事が多く、雨の日などはこのようなバケツを置いて
何度もたまった水を捨てに行っているとのことです。
 お話をお聞きしていると、私の母親のようなご年齢です。
足が少し不自由らしく、歩くのが大変そうでした。
 雨の日になるとこのバケツの前でご不安そうにしているお母様の
姿が浮かんできて、私も心配でなりません。
必ず漏水を止めますとお話をして原因の究明にかかりました。


外壁散水調査
 今回の漏水は外壁コーキングの劣化にあると考え、劣化の激しい部分に
散水を繰り返しどの部分から水が廻っているかを特定していきます。
特に屋上バルコニー内壁、外壁の劣化が激しく、散水を続けると
部屋うちに水が廻ってくることが確認されました。
防水層水張調査
念のために防水層の劣化による漏水も考え水張調査もしましたが、
防水層からの漏水は確認されませんでした。
屋上バルコニー内壁劣化状況
外壁のコーキングを見ると劣化によってサイディングとの密着が破断し
またひび割れ、コーキング自体の剥がれも確認されました。
こうした個所から内部に水が廻ったことによる漏水ということが分かりました。
天井開口調査状況

早速大工さんを手配し天井を開口してもらうと、下地の木部が漏水によって腐っていました。
下地木部の腐食状況



天井ボードカビ発生状況
 石膏ボードの裏側には湿気によりカビが沢山発生しています。
範囲特定
本来であれば全体のコーキングを打ち直すことが、長期的に見て
コスト的にも、安心面でもお客様のためには良いのですが、
諸々の事情で今回は部分的に工事をさせて頂くことになりました。
 このため一番の急務は、現状の漏水を止めるという一点に絞り、
漏水の原因となっている範囲の特定、及びプランのご提案です。
 漏水の原因は、屋上バルコニー内側、外壁の赤い線の部分の
コーキングの劣化、破断によるものです。
 ご予算の関係もあり今回は正面漏水バルコニー部分、屋上バルコニー内側、左面外壁のコーキング及び内装工事の施工となりました。
 但し、せっかく足場をかけるので、この部分についてコーキングのみではなく塗装までしておくことをご提案しました。
数年後にほかの部分の工事をする際、今回工事をした部分に足場をかける必要がなくなり、その分のお客様のご負担が減ると考え、御打合せの上工事に取り掛かりました。

コーキング撤去状況

コーキング新設状況


外壁塗装 下塗


仕上げ状況


仕上げ状況



外壁サイディングには湿気などに強い専用下塗を施工し、シリコン系の
塗装を塗り重ね、シャッター、雨樋などの塗装をして外部は完了です。
 これで内部の漏水は止めることが出来ました。
お母様の安心したお顔をみて、本当に良かったと少し肩の荷が下りました。 
 然し工事はまだ終わっていません最後まで気は抜けません。
 最後は内部の復旧とクロスの張替です。




 雨染みが出来ている箇所の天井ボードを剥し、下地の木部に腐食が見られる箇所を新規に交換します。
その後、ボードを張替え、パテ処理を施します。

1階リビングクロス張替え後

2階洋間クロス張替え後

2階洋間クロス張替え後


各部屋、壁と天井のクロスを張替え、工事が完了しました。

私たちは漏水についても様々なケースを見る機会が多く、また
ご相談も賜ります。
 今回のようなケースも時々ご相談をお受けしますが、コーキングの劣化が引き起こす漏水でこれほどのケースは稀です。
 毎日毎日が様々なケースとの闘いで、毎日毎日が勉強です。
コーキング劣化が引き起こす問題について、大変勉強させられる工事でもありました。
 今日は3連休中日です。
私は今日も忙しい中にも楽しくお仕事をさせて頂いております。

たまには、釣りにでも行きたいですが、、、(^-^;